関節リウマチについて
関節リウマチの患者数は全国で100万人といわれ、30~50歳代の中高年に多く発症します。 女性にとっては、身近な病気といえます。
現在は、治療が進んでおり、早期の発見と適切な治療を行うことで、病気の進行をくいとめることができるようになってきています。適切な知識を得て、理解することが重要です。
関節リウマチの原因
関節リウマチは、ウイルスの感染などをきっかけとして、身体の免疫系が自身の組織を異物として攻撃(自己免疫の異常)をしてしまい、関節の滑膜が炎症を起こし、滑膜が異常に増殖してしまいます。関節全体に炎症が広がり、骨や軟骨が破壊され、関節に変形を生じて、本来の関節機能をうしなってしまいます。
検査
医学的検査が中心ですが、自己チェックによって早期発見につながる場合があります。
自己チェック
- 朝の関節のこわばり
- 関節の腫れ
- リンパ腺の腫れ
- 疲労感、だるさ
- 微熱
- 食欲不振
- 貧血
- 家族に関節リウマチの方がいるか
医学的検査
血液検査・X線検査・尿検査・関節液の検査
などを複合的に判断して診断をします。
関節リウマチの治療
医学の進歩により、症状の進行を抑える治療がでてきています。過度に恐れるのではなく、関節リウマチについて適切な知識を持って、医師と協力し、適切な治療を選択しましょう。そうすることで、日常生活を質をより高く保つことができます。
主な治療方法
1. 基礎療法について
① 正しい疾患についての知識を持つ
正しい知識を持つと不必要な不安は解消されるものです。病気についての正しい知識を持ち治療内容や自分の病状を理解しておくことで、様々な事態や情報について賢い判断ができるようになります。
また家族や友人、職場の人など周囲の人に病気のことを理解してもらい協力してもらうことも大切です。
② 関節の適切な保護
関節を冷やすことは避けましょう。冷房や冬の冷え込みが症状の悪化につながるので、冷やさない工夫が必要です。
③ 適度な運動と安静
関節は、動かさないでいるとすぐに硬くなったりして、本来の機能が低下してしまします。
そのため、普段から適切な運動をすることを心がけることが重要です。しかし、過度な運動は関節に負担をかけてしまいますので、適度な安静も必要です。医師との相談の上、運動量の調整をしましょう。
2. 薬物療法
- 抗炎症薬
炎症を抑え、痛みを和らげる - 抗リウマチ薬
免疫異常を改善し、疾患自体の進行を抑える - 生物学的製剤
炎症や関節破壊を起こす物質の働きを抑制する薬
3. リハビリテーション
リハビリテーションとは、様々な医療職種が連携して、患者さんが自立して生活し社会参加することを支えることを指します。そのなかでも適切な物理療法と運動療法は有効です。
運動療法
- 関節を適度にできる範囲で動かす
痛みのない範囲で関節を動かす習慣を持つことが重要です。
関節は、ほうっておくとすぐにその機能が低下してしまうからです。しかし、痛みがあるにもかかわらず我慢しながら動かすことは逆効果ですので、負荷については医師と相談しながら進めてください。 - 適切な筋力強化運動
関節に負担をかけない方法での筋力強化運動が有効です。
自分で無理に行おうとせず、医師に相談の上実施してください。 - 温水プールでの運動
プールは、関節に負担をかけずに全身を適切に動かすことができるため、有効です。
ただし、体を冷やさないように温水プールにいくようにしてください。 - 首の運動は安易に行わない
症状が頸椎に及んでいる場合、軽度な負荷でも危険なことがあるため、注意するようにしてください。
物理療法
水や温熱、光線、超音波などの物理的な刺激により血液循環をよくして痛みを和らげるのが物理療法です。当院で行っているものに以下のようなものがあります。
温熱療法:パラフィン浴、ホットパック、部分浴など
冷却療法:アイスパックなど
電気療法:赤外線、超音波、レーザーなど
水治療法:入浴、水泳、バイブレーションバスなど
装具療法
装具を使用する目的は関節負担の軽減、変形の進行抑制です。
- 代表的な装具
・頸椎のカラー
・足底板
・ひざの関節用装具
・手指の装具 - 自助具について
自助具とは、関節に負担を変えずに、日常動作の不自由さをカバーするために使用します。福祉用具として購入することができるものもあれば、一般の量販品店で購入できるものもあります。 - リーチャー
手の届かない所に届く孫の手のようなもの。カーテンの開け閉めなど引っ掛けて動かす。長柄のブラシ、くしマジックハンドグリップメイト歯ブラシなどにつけ握りを太くし握りやすくやすくする
4. 手術療法
関節リウマチの症状が過度に進行し、手術適応となる場合もあります。その場合は、手術のできる信頼できる医療機関へご紹介させていただきます。